英語を学んでいく上で、「ネイティブが書いた英文を読んで理解していく」ということはとても重要な学習法の1つと言えます。
多くの文章を読み、多くの単語に触れるうちに、「正しい英語」の感覚を少しずつ学んでいくことができます。
日本の中学校や高校では、こうした「英文読解」というものを中心とした授業が行われています。
もちろん、これだけに偏った学習はいかがなものかと思いますが、それでも、「英文読解」をたくさん行うことは基本的な英語力を養う上でとても重要です。
「英文読解」の際、学習初期のうちは「日本語に訳す」ということが必要になりますね。
この時、「ガチガチな直訳」でいくのが良いのか、はたまた「なめらかな意訳」でいくのが良いのか、英語初心者は迷うことでしょう。
どちらが良いのでしょうかね?
今日はその辺りを一緒に考えてみましょう。
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私(久末)の個人的な感覚で言うならば、学習初期ほど「ガチガチな直訳」が有効です。
「ガチガチな直訳」で出来上がった日本語の文は、日本語としては「不自然」になってしまうことでしょう。
しかし、ガチガチな直訳でできた日本語は、もともと「英語だった文」を日本語で表記しただけですから、そもそも日本語ではないのです。
英文をガチガチな直訳で日本語にしていくと、どの単語がどのような働きをしているのかがよく見えてきます。
逆に、なめらかな意訳をしてしまうと、元々の「英語の働き」が見えにくくなることがあります。
例えば、次のような英文があったとします。
■ After washing my car, I decided to help my son with his homework.
これを「なめらかな意訳」で日本語にすると、次のようになります。
「私は車を洗った後、息子の宿題を手伝ってやることにした。」
この日本語を読めば、言いたい意味がよく分かることでしょう。
ところが、この「なめらかな意訳」では、「washing」の動名詞、「to help」のto不定詞、「with」の前置詞などがよく見えません。
さらに「my car」の「my」、「my son」の「my」、「his homework」の「his」が完全に日本語から消えてしまっています。
このような意訳をしてしまうと、「日本語から英語を作る」ということをしようとした時に問題が起きます。
つまり、「動名詞」や「to不定詞」や「with」が適切に使われず、さらに「my」や「his」と言った代名詞も抜け落ちてしまう可能性が出てきてしまうのです。
一方、「ガチガチな直訳」でやれば、「動名詞」や「to不定詞」や「with」や「my」や「his」も適切に表現することができます。
「私の車を洗うことの後で、私は、私の息子を、彼の宿題で手伝うことを決めた。」
これはなんとも不自然な日本語ですね。
ですが、この訳ならば、「washing」の動名詞がよく見え、また「to help」のto不定詞がよく見え、さらに「with」の前置詞もよく見えます。
「my」や「his」もしっかり表現しています。
この日本語訳は、日本語で書かれてはいますが、「元々英語だった文」を日本語で表現したものと言えます。
なので、「日本語のように見えて、日本語ではない」のです。
このような「ガチガチの直訳」を普段からやっておくと、今度は「英文を作る」という時に大変役立ちます。
この日本語の中に見える「動名詞」や「to不定詞」や「前置詞」や「代名詞」を再び「英語」に置き換えれば、今度は「自然な英語」が出来上がるのです。
学習初期のうちから、「主要な単語」だけを拾い集め、日本語的な「感覚」だけで意訳をしてしまうと、「英文の構造」を学ぶことができなくなってしまうのです。
なので、やはり学習初期のうちは、少々不自然な日本語になったとしても、「ガチガチな直訳」にすることを強くおすすめします。
さらに言うなら、「英文を翻訳して人に伝える」ということをせず、「単に自分が理解するだけ」ならば、わざわざ「なめらかな意訳」にする必要などありません。
英語を英語のままで解釈するには、「ガチガチな直訳」が有効です。
「ガチガチな直訳」ができた後で、それを「人に伝える」ということをする際に、「なめらかな意訳」に直すというのならば良いでしょう。
つまり、「なめらかな意訳」をする場合でも、必ずその前に「ガチガチの直訳」が自分の頭の中に出来上がっていなくてはならないということです。
英語がなかなか身につかなくて苦しんでいる人は、もしかしたら「ガチガチの直訳」を避けてしまっているのかもしれません。
もしそうならば、不自然な日本語にするのに対抗があったとしても、やはり英語の構造がよく見える「ガチガチの直訳」をやってみてはいかがでしょうか?
英語に対する見方が変わり、より正しく理解していくことができるかもしれませんよ。
<おしまい>
本校では、英語の物語テキストを日本語に訳す際、「ガチガチの直訳」を徹底して行い、「英語の構造のまま理解する」ということをたくさん練習します。
英語が全く分からないという人でも、ガチガチの直訳を繰り返すことで、少しずつ英語の構造を理解できるようになっていきます。
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