<昨日の続き>
「turn on the radio」と「turn the radio on」は、どちらも意味としては同じです。
ただし、少し、意味合いが異なります。
両者を比べると、「on」と「the radio」の順序が逆になっていますね。
英語で発音してみるとわかるかもしれませんが、「turn on the radio」と発する場合は、より後ろに置かれた「the radio」の方に強いストレス(アクセント)を置いて発するのが自然です。
逆に、「turn the radio on」の場合は、後ろに置かれた「on」にアクセントが置かれ、前に置かれた「the radio」にはアクセントは置かれません。
順番の入れ替えが可能な2つの表現を比べた時、英語では、「新しい情報」となる言葉を「より後ろ」に置いて強調する、という暗黙のルールがあります。
どうして新しい情報を「後ろ」に置くかと言うと、これは私の想像ですが、音にした時の「聞こえ方」に関係があると思います。
後ろに置かれた方が、聞いている人にとっては、最後に聞こえた音として「耳に残りやすい」ということなのだろうと思います。
もちろん、それは順序の話というよりは「強く発音するかどうかの問題」とも言えますが、英語には、どうやら「新しい情報は、より後ろに置いて、強く発音する」という法則があるようなのです。
従って、「turn on the radio」と表現した場合には、会話の流れの中では「the radio」という言葉はおそらく初登場であって、「他の電化製品ではなくて」という含みを持ちながら「ラジオを」ということを強調したい時に、「the radio」を後ろに置いて強く発音するのです。
逆に、「turn the radio on」と表現した場合には、会話の流れの中で、例えば既にラジオの話をしているとか、ラジオを聞くことになっているとか、なんらかの形で既に「the radio」という言葉が話し手と聞き手の間で通じている状況があると想像できます。
そして、「turn the radio on」の「on」の部分が後ろに置かれて強く発音されることによって、別の副詞(たとえば「up」や「down」や「off」など)ではなく、「on」を強調し、つまりは「電源を入れる」ということを強調することができるのです。
さて、以上の「違い」というものは、さほど大きな違いとは言えません。
ほんのわずかな違いであり、どちらで言ったら間違いだ、というほどの問題に発展することはまずありません。
しかし、「the radio」が「it」などの代名詞になった場合は、必ず「it」は前に置かれ、「on」が後ろに置かれなくてはなりません。
「it」というのは「代名詞」ですから、「既に出てきた名詞の代わり」で使われますね。
「既に出てきた名詞の代わり」ということは、「古い情報」なのであり、決して「新しい情報」ではないということです。
上述したルールでは、「新しい情報を後ろに置く」ということでしたから、「turn on it」とは決して言わず、「turn it on」という表現になるのです。
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