<前回の続き>
前回は、音読をする際の3つの心構えのうち、2つ目について書きました。
<音読の心構え>
1.スペル(文字)と発音の関連性に注意すること。
2.英文の構造(品詞・文法項目・文型)を意識すること。
3.英文の意味、単語の意味を捉え、そこから「映像化」しながら音読すること。
2つ目は「2.英文の構造(品詞・文法項目・文型)を意識すること。」です。
つまり、音読をしながら、「品詞」を気にしたり、「文法項目」を気にしたり、「文型」を気にする、ということです。
具体的にやって見ましょう。
次の英文を音読しながら、まずは「品詞」について意識してみて下さい。
In the section of our country known as New England during the Civil War, there once lived a family by the name of March.
どうでしょうか?
「全ての単語」について、この文の中での「品詞」を言い当てられますか?
「品詞」が分からない人は、英語が分かったとは言えません。
これが分からない人は、音読の前に、まず英文法の学習として「品詞」について学ぶと良いでしょう。
では、品詞をクリアしたとしましょう。
続いて、「文法項目」に目を向けてみましょう。
上と同じ英文を使って音読しながら、今度は「どこにどんな文法項目があるか?」を意識してみるのです。
例えば、最初の「In」というのは、どのような文法項目と言えるでしょうか。
これは「前置詞」という品詞で、「名詞の前に置かれて句を作る」という働きをしています。
一般的に前置詞によって作られた句は、「形容詞句」や「副詞句」のどちらかの働きをします。
では、「形容詞句」って何でしょう? あるいは「副詞句」ってなんでしょう?
ここでは、「In」という前置詞が、どこまでを1つの「句」として導いているのでしょう?
こういうことが分からないうちは、やっぱりまだ音読練習に入るには不十分と言えます。
最初の「In」だけでなく、その次の「the」も、その次の「section」も、全ての単語について、それぞれが「どのような文法項目として解釈できるか?」を把握してはじめて「音読」というものが効果を発揮します。
では、全ての単語の「文法項目」を把握したとします。
続いては、「文型」について考えてみましょう。
「文型」を理解するには、「V(述語動詞)」「S(主語)」「O(目的語)」「C(補語)」「M(修飾部分)」の5つの「文の要素」を理解しなくてはなりません。
例えば、「I love you.」という英文は、「I」が「主語」で、「love」が「述語動詞」で、「you」が「目的語」というように分類されます。
これと同じように、上の英文を、この5つの「文の要素」で分類していくと、どのようになるでしょうか?
文型が分からないうちは、やっぱり英語が分かったとは言えません。
文型を知らずに音読をしても、「音」の中にある法則に、自分の脳が勝手に気づくまでには相当な時間がかかってしまいます。
「音」の中にある法則をいち早く、1つの回路として形成していくためには、「文型」の理解というものは不可欠です。
さて、「文型」も自分で把握できたとします。
そうしたら、今度は、「品詞」と「文法項目」と「文型」の3つを同時に意識しながら、実際に英文を「音読」してみましょう。
どうでしょうか?
頭の中が、とっても忙しくなりますね。
でも、こういうことを意識しながら音読をしていくと、だんだん、少しずつ、「音」と「文法」というものが合致していきます。
「音」の中にも、「文法」の中にも、どちらにも共通する「英文を作るための法則性」が含まれているからです。
「文法」を意識しながら「音読」をすることで、頭の中で両者がつながっていくのです。
最初はものすごく「意識的」な音読になるはずですが、人間、どんなことでも意識的に何かを繰り返していると、そのうちに、だんだんと「無意識」にやれるようになります。
音読しながら、自分が発音している英文の1つ1つの単語の「品詞」がよく見えてきたり、「文法項目」がよく見えてきたり、あるいは「文型」がよく見えてくれば、ようやく「音読」による学習効果が得られます。
さらに、「音読の心構え」の1つ目である「スペルとの関係」も一緒に意識していくと、さらに音読の学習効果は高まります。
「音読」を「音の学習」だけと思っているうちは、本当には英語は身に付きません。
「文法」という、一見「音」とは無縁に思えるような学習をしていくことによってはじめて、「音読」という学習に意義が見いだせるのです。
さて、次回は「音読の心構え」の3つ目について書きますね。
どうぞお楽しみに!