前回、英文を「暗唱」する際には、次の3つのポイントに注意すると良いと書きました。
1.スペル(文字)と発音の関連性に注意すること。
2.英文の構造(品詞・文法項目・文型)を意識すること。
3.英文の意味、単語の意味を捉え、そこから「映像化」しながら暗唱すること。
この3つのポイントは「暗唱」の手前の「音読」の際の注意点と同じでした。
しかし、音読と暗唱の最も大きな違いは「音読では文字があるけれど、暗唱では目の前から文字がなくなる」という点です。
このため、音読の際に上記の1~3の全てのポイントを意識できた人であっても、「暗唱」となった場合には、特に「1」の「スペル」について確認する必要があるのです。
さて、今回は上記の3つのポイントのうち、「2」について考えてみましょう。
英文を「口で覚える」ということができるようになると、もはや「口」が勝手に動いてしまうようになります。
しかし、英文を暗唱する際は、「覚えたものを言う」というよりは、
「自分で即興で英文を作っている」
という感覚を忘れないようにすることが大事です。
「自分で英文を作る」という感覚を持たずに、ただ「音の再生マシーン」と化してしまうだけでは、いざ、自分で英文を作って言う際に困ってしまいます。
「英語を話す」ということは、「英文をどんどん口頭で作っていく」ということです。
覚えた英文とは言え、それをあたかも「自分が作っている」という感覚を持ちながら暗唱を繰り返していると、次第に「英文というものはこうやって作れば良いのだな」という感覚が養われていきます。
「自分で英文を作る」という感覚を持つには、上記の2つ目のポイント「英文の構造(品詞・文法項目・文型)を意識すること」が重要となります。
自分が覚える英文について、「品詞」や「文法項目」や「文型」が分からないようでは、ちょっと別の言葉を使って、別の文に変えたくなった時に、もう応用が利かなくなってしまいます。
「品詞」や「文法項目」や「文型」を理解してこそ、覚えた英文をアレンジして自分で別の文を作る際に非常に役に立つのです。
このことについては、「音読の心構え・その6」でも書きましたので、詳しくは過去記事をお読み下さい。(記事はこちら)
「品詞」や「文法項目」や「文型」を理解し、その全てを把握しながら、そういう英文を「自分で作る」という感覚で暗唱すれば、そのうち「英語を話す」という感覚にも慣れていきます。
しかも、元々がネイティブの書いた自然な英文なのですから、それを暗唱するうちに「自分流の適当な感覚で英語を話す」のではなく、「ネイティブのような感覚で英語を話す」ということが少しずつできるようになっていきます。
暗唱を実践している方は、是非、「自分で英文を作っている」という感覚を忘れないようにしてみて下さい。