日本人が英単語を覚えようとする時、当然、「日本語」に置き換えて覚えることでしょう。
しかし、単に「日本語」に置き換えてしまうと、その英単語の「本来の意味」が失われてしまうことがあります。
英単語の「本来の意味」がよく見えるような日本語に訳しておくと、実際に英語で文を作ろうとする時にとても役に立ちます。
さて、今日は「keep on 〜ing」という表現について考えてみましょう。
一般に、「keep on 〜ing」は「〜し続ける」という日本語で表されます。
しかし、その場合、「keep 〜ing」という「on」が入らない表現とはどのように違っているのかが曖昧となります。
事実、学校の英語教師であっても、この「on」が一体何を表しているのかよく理解していない人もいます。
「on」の意味をしっかりと捉えながら「keep on 〜ing」を正しく理解するにはどうすれば良いでしょうか?
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まず、「keep」にはそもそも「ある状態を保つ」という意味があります。
また「〜ing」の形はここでは「現在分詞」で、「ある動作がずっと継続している状態」を表します。
例えば、「dance(踊る)」という動詞を「dancing」という現在分詞に変えると、「ずっと踊っている状態」を表します。
「keep dancing」と言えば、「ずっと踊っている状態を保つ」という意味になり、つまりは「踊り続ける」という意味になります。
ここまではそこまで難しい話ではないと思いますが、問題はここに「on」が入った場合です。
「on」が入って、「keep on dancing」と言った場合には、どのような意味になるのでしょうか?
「on」が入らない場合の「keep dancing」と全く同じように「踊り続ける」という日本語にしてしまって良いものでしょうか?
そうなると、「on」があってもなくても同じことになってしまい、「on」は完全に無視されることになります。
いや、「on」にはきちんとした意味がありますから、無視してはいけません。
「on」は「前置詞」や「副詞」として機能しますが、そもそも「on」は「面や線に接している」ということを表す場合に使われる言葉です。
「面」で言えば、「on the table」ならば「テーブル面に接して」という意味になりますし、「on the ceiling」ならば「天井に接して」という意味になります。
「線」で言えば、「on line」は「線に接して」となりますし、「on the cable」は「ケーブルに接して」となります。
このような意味を持つ「on」が「keep 〜ing」の間に挟まった場合、「〜ing」の部分で表現される動作を「時間の経過を表す線」として見なすことになります。
例えば、「dance」という動作は、一瞬で終えることはできません。
通常、「dance」という動作は「数分から数十分」ほどの時間(あるいはそれ以上の時間)は継続するものでしょう。
「dance」という動作の「開始」から「終了」まで、時間の線をイメージしたとしましょう。
「dancing」という現在分詞は、その途中の一部分を抜き出し、「踊り続けている状態」を表します。
ここに「on」という表現が加わると、「踊り続けている状態」から「いったん離れ、再び戻る(線に接する)」ということが暗に示されます。
「keep dancing」の場合は、「踊り続けている状態を、単に続ける」という意味となりますが、
「keep on dancing」の場合は、なんとなく「中断する」ということを頭に浮かべながらも「中断せずに、線に乗ったまま続けていく」ということを表すのです。
このような「on」は他の場面でも使われます。
例えば、「She talked on.」といった表現。
この場合の「on」は、「線から離れず、ずっと接したままである」ということを表します。
「on」がなければ「She talked.」となり、これは単に「彼女は語った。」となります。
これに「on」がくっつくと、「中断せずに、ずっと語り続けた」という意味になります。
あるいは、実際に一度「中断」が入った後で、動作を「再開」する場合にも「on」が使われます。
そのような意味の場合には、「彼女は(一度中断したが)再び引き続き語った。」のようになるのです。
文中の「on」が「動作」に関して述べるような場合には、以上のように「(中断せずに)そのまま継続して」あるいは「(中断したが)再び引き続き」という意味合いが含まれるということです。
■ keep on dancing
→「そのまま継続して踊り続ける」/「(中断したが)再び引き続き踊り続ける」
■ talked on
→「そのまま継続して語った」/「(中断したが)再び引き続き語った」
◎まとめ
「keep on 〜ing」は、ある動作を「中断せずに継続し続ける(線に触れたままである)」あるいは「中断してから再びその動作に戻る(再び線に接する)」ということを暗に示します。「中断」がイメージされながらも「中断されない」あるいは「中断したが再び戻る」ということをほのめかしたい場合に「on」が使われます。このような「on」は「そのまま継続して」や「再び引き続き」といった日本語に置き換えると良いでしょう。