日本人が英単語を覚えようとする時、当然、「日本語」に置き換えて覚えることでしょう。
しかし、単に「日本語」に置き換えてしまうと、その英単語の「本来の意味」が失われてしまうことがあります。
英単語の「本来の意味」がよく見えるような日本語に訳しておくと、実際に英語で文を作ろうとする時にとても役に立ちます。
さて、今日は「marry」という言葉について考えてみましょう。
これを「結婚する」という意味として捉えている人も多いことでしょう。
もちろん、「結婚する」という日本語で間違っているとは言いません。
しかし、「marry=結婚する」としてしまうと、自分が英文を作る際に「あれ? 彼と結婚する、というのはmarry with himだったかな?」のように間違った使い方をしてしまうことになり兼ねません。
<アメブロからの続きはここから>
「marry」には、「自動詞」と「他動詞」の2つの使い方があります。
「自動詞」というのは「目的語を伴わずに機能している場合の動詞」のことです。
一方、「他動詞」というのは「目的語を伴って機能している場合の動詞」のことです。
例えば、「eat」という動詞であれば、「I am eating.」という文ならば「目的語を伴わずに機能している」と言えるので、この文での「eat」は「自動詞」ということになります。
一方、「I am eating an apple.」という文ならば、「eat」の目的語として「an apple」が伴われているので、この文での「eat」は「他動詞」ということになるのです。
「marry」は「eat」と同じように、「目的語を伴わずに機能する場合」と「目的語を伴って機能する場合」の両方があります。
「目的語を伴わずに機能する場合」つまり「自動詞」として機能する場合の「marry」は、日本語でも「結婚する」と訳しても構わないでしょう。
例1: She married last year.「彼女は去年結婚した。」
ところが、「marry」が目的語を伴って機能する場合、つまり「他動詞」として機能する場合には、「結婚する」という日本語に訳さない方が良いでしょう。
例2: She married a farmer.
この文は、日本語の意味としては「彼女は農夫と結婚した。」としても良いのですが、そうなると、「目的語」なのに、「〜と」という言葉がついてしまいます。
普通、「目的語」の後ろには、日本語では「〜を」や「〜に」という助詞がつきます。
「marry」が他動詞として機能して、後ろに目的語を伴っている場合、「〜を」や「〜に」という助詞とのつながりがイメージしにくくなります。
このことは、「英語→日本語」の場合の問題よりも、「日本語→英語」の場合の問題の方が大きいと言えます。
「彼女は農夫と結婚した。」という日本語から英文を作ろうと思った時に、「農夫と」の「〜と」の部分が、多くの日本人にとって「with」という前置詞を連想させてしまいます。
そうすると、「She married with a farmer.」という英文を作ってしまうのですが、これは英語としては誤りになります。
「marry」が目的語を伴って「他動詞」として機能する場合には、「marry+人」というように、「人」を表す言葉を目的語として伴いますので、「with」という前置詞をつけてはいけません。
そういったミスをしないようにするためには、「marry」という言葉を「結婚する」と訳すのではなく、「夫にする」や「妻にする」といった日本語に訳しておくと良いでしょう。
「夫にする」や「妻にする」という日本語ならば、「人を」というように「〜を」という助詞とのつながりが良くなります。
そうすると、「彼女は農夫を夫にした。」という日本語から「She married a farmer.」という正しい英文が出てきます。
もちろん、「夫にする」や「妻にする」という表現は、「自然な日本語」と言えるものではありません。
しかし、これは元々「英語の表現」を日本語に置き換えたものなのですから、そもそも日本語として自然である必要はありません。
それよりも、「英文を正しく作る」あるいは「英文を正しく解釈する」ことの方が重要です。
というわけで、「marry」の後ろに「人」が目的語としてくっついている場合には、「〜と結婚する」という日本語として解釈するよりは、「〜を夫(妻)にする」のような日本語として解釈しておくことをオススメします。
◎まとめ
「marry」が自動詞として機能するような場合には「結婚する」という日本語に置き換えても問題ありませんが、「marry」が他動詞として機能して後ろに「目的語」を伴うような場合には、「結婚する」ではなく「〜を夫(妻)にする」という日本語に置き換えて理解しておくと良いでしょう。「〜と結婚する」のように解釈してしまうと、英文を作ろうとした際に「marry with 人」という誤った英文になってしまうので注意しましょう。