英語学習者を悩ませる文法項目の中でも、「時制の一致」はかなり厄介なものと言えるでしょう。

「時制の一致」という、あたかも「何かと何かを一致させる」といわんばかりのこの名称に多くの英語学習者が迷い、あるいは誤って理解したりしています。

文法というものは「文を作る法則」なのですから、言葉の扱いに関しても理論的であるべきだと私(久末)は常々思っています。

ところが、文法項目を説明する文法書、あるいは教師達自身が、理論性に欠ける説明を平気でしてしまうことが多々あります。

「時制の一致」というのは、一体、どのような文法項目なのでしょうか?

 

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まず、「時制の一致」という名称から得られる「一致させる」というイメージを忘れるところから始めましょう。

「時制の一致」を理解するためには、「何かと何かを一致させる」と考えていくよりも、「日本語と英語の意味的なズレ」に着目した方が良いと言えます。

 

次に、「主節」と「従位節」という言葉をきちんと理解しましょう。

主節と従位節から成る文のことを「複文」と言います。

そして、「従位節」というものをさらに分類すると、「名詞節」「形容詞節」「副詞節」の3つに分けることができます。

つまり、「主節+名詞節」、「主節+形容詞節」、「主節+副詞節」のいずれも「複文」ということになります。

「名詞節」「形容詞節」「副詞節」の3つの従位節は、いずれも、節全体のかたまりが1つの「品詞」として機能します。

「名詞節」は、節全体が「名詞」として機能し、
「形容詞節」は、節全体が「形容詞」として機能し、
「副詞節」は、節全体が「副詞節」として機能します。

ここまでのところをきちんと理解していないうちは、この先には進まない方が良いでしょう。

理解が浅いな、と感じた人は、文法書などで、「名詞節」「形容詞節」「副詞節」についてよく確認しましょう。

 

さて、ここまでの理解がオーケーなら、次に進みます。

「時制の一致」と言われる文法項目で問題となるのは、主に「主節+名詞節」の場合です。

「主節+形容詞節」あるいは「主節+副詞節」の場合には、日本語と英語との間で「意味的なズレ」はたいてい生じません。

「主節+名詞節」において、日本語と英語との間で「意味的なズレ」が生じることがあるのです。

その「意味的なズレ」に着目し、「和文を英文に変換する際」あるいは「英文を和文に変換する際」に、その意味が合致するように「述部の時制」の表現方法を変えなくてはならないのです。

「日本語と英語の意味的なズレに着目して述部の時制の変換を行うこと」を、一般の文法書では「時制の一致」と呼ぶのです。

 

では、具体的にどのようなズレが生じ、どのように述部の時制を変換しなくてはならないのでしょうか?

少し長くなりましたので、今日はここまで。
続きはまた明日以降!

どうぞお楽しみに。