<前回の続き>
(「子供向けの英語教育について」の過去記事一覧はこちら。)
前回、小学5年生よりも前の時期には、英語を学ばせるよりも、むしろ「前頭前野を鍛える」ということをすべきだと書きました。
2001年にデュープラー英語学院を設立して以来、私(久末)は「大人」を相手に英語を教えてきました。
大人が英語を身につけようとした時に、「子供の頃に、この能力を鍛えておけば、もっと楽に英語を学ぶことができたのに」と悔やまれるポイントがいくつかあります。
今日は、大人になってから必要となるであろう「能力」というものについて考えてみます。
<アメブロからの続きはここから>
前回、前頭前野を鍛えるためには以下のことが有効ではないかと書きました。
【前頭前野を鍛えるために有効なこと】
1. 簡単な計算(足し算、引き算、かけ算、割り算)をする。
2. 漢字の読み書きをする。
3. 日本語の文章を声に出して読む。
4. 日本語で文章を書く。
5. 手先を使った作業をする。(楽器演奏、図画工作、包丁で野菜などの皮をむく、パソコンのブラインドタッチなど)
6. 物事の段取りを考える。(料理、片付けなど)
7. よく噛んで食事をする。
8. 歌を歌う。
9. 絵を描く。
10. 手足を動かしてコントロールするような運動をする(水泳、ダンス、器械体操、球技など)
11. 多くの人、様々な人と会話する。
12. 動物・昆虫などの生き物に触れたり、世話をしたりする。あるいは自分より年少の子の面倒をみる。
このうち、「小学校5年生になってから」あるいは「大人になってから」、英語を身につけていくために必要なことはどのようなことでしょうか。
英語ができるようになる、ということは、次のことを意味します。
1. 英語で文を作ることができる。
2. 英語のスペルに合わせて発音することができる。
つまり、「文を作って発音する」ということができれば、「英語で話すことができる」ということになります。
「文を作る」のも「発音する」のも、どちらも「アウトプット」の作業です。
アウトプットの作業ができるようになれば、対応する事柄については、正しくインプットすることもできるようになります。
まず、「文を作る」ということができるようになるには、何が必要かを考えてみましょう。
「文を作る」ためには、「単語の変化のルール」と「単語の並べ順のルール」について学ぶ必要があります。
そして、「単語の変化のルール」と「単語の並び順のルール」を合わせたものを「文法」と言います。
「文法」というものは、「法則」をまとめたものですから、これを理解していくためには「考える力」が必要になります。
ところが、「大人」になった人でさえも、「考える力」がとても弱いことがあります。
「1つの事柄」を頭の中で思い浮かべ、そこから、「別の事柄」につなぎ、そこから「さらに別の事柄」へとつないでいく。
このように「頭の中でいくつもの事柄をつないでいく」という行為が苦手な人は、つまりは「考える」ということが苦手だということです。
そして、「考える力」が弱ければ、「文法を理解する」ということができません。
「理解する」ということは、「頭の中で考え、つないでいく」という行為の先にあります。
ところが、考えるということが苦手な人は、そういう「面倒くさいこと」をすっ飛ばしてしまいたくなるのです。
すると、「考える」のではなく、「記憶する」という方向に走ってしまいます。
文法は法則であり、ルールであるのですから、当然、「覚える」という必要があります。
しかし、「理解せずに、ただ覚える」という、まるで学生時代の勉強方法と同じように英語を学ぼうとする「大人」がたくさんいます。
「文法を覚えられない」と私の教室に相談しにくる人がたくさんいるのです。
その度に私はこう言います。
「文法は覚えるものではなく、理解するものです。」
子供の頃から、「考える」ということをあまり練習しなかった人は、「文法を理解する」という段階でとても苦労します。
もちろん、「考える」という行為は、人間ならば誰でもやることです。
しかし問題なのは、「考える」という行為の「広さ」と「深さ」です。
頭の中で、1つの事柄から別の事柄へと、どんどんつなげていく。
この「つなげていく」という行為には、少なからず「忍耐力」が必要とされます。
子供の頃から「考える」ということを忍耐強くやってきた人は、「文法」というものを理解していくために「考え続ける」ということができます。
ところが、この忍耐力が弱く、考え続けることができない人は、「理解」に到達する遥か手前のところで「考える」のをやめてしまうのです。
「考える」という行為は、練習すれば上手になりますし、必ず忍耐力もつきます。
その練習は、大人になってからもできますが、やはり、子供のうちからやっておく方が良いと思います。
では、子供に「考える」という練習をさせるには、一体、何をどうすれば良いでしょうか?
少し長くなったので、続きはまた次回。
<続く>
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