前回、「音読」をひたすら繰り返していくことによって、「口が軽い」と感じたところで文字から目を離し「暗唱」をすると良いと書きました。
「暗唱」をする時に、一番やってはいけないのは、「口が軽くもなっていないのに、頭の記憶力だけで覚える」ということです。
そもそも「暗唱」を実践する目的というのは、「脳」と「口」を直結させて、「無意識に口を動くようにする」というところにあります。
私達が日本語を話すときに、言葉の「並べ順」や「変化の仕方」については考えることもなく、ほとんど無意識に「口」が勝手に音を出してくれます。
「口」から音が出た時には、既に言葉の「並べ順」や「変化の仕方」については正しいものとなって、自然な文となっているのです。
このことを英語で実現させるために、「脳」と「口」を無意識に直結させる訓練として「音読」や「暗唱」を行うのです。
しかし、「暗唱」をする際に、「口」ではなく、「頭の良さ(=記憶力)」だけで英文を覚えてしまうと、いつまでも「脳と口」が直結していきません。
必ず「口」を使って「音読」し、そして「口」を使って「暗唱」しなくてはならないのです。
さて、「音読」から「暗唱」へ移行する際に「口が軽くなる」というのが一つの目安と前回も書きました。
「口が軽くなる」というのは、例えば、「ひな鳥が巣立つ」という場面をイメージしてみると分かり易いかもしれません。
ひな鳥は、最初は巣の中で、親鳥が運んでくる餌を食べるだけです。
自分で飛ぶことはできません。
しかしそのうち、親鳥が運んでくる餌を食べていくうちに、だんだんと体も大きくなります。
翼もしっかりしてきます。
まだ飛び立つことはできませんが、そろそろ巣の中で羽ばたきを始めます。
「バサバサ」と羽ばたきをしますが、まだ、飛べるほどの力はありません。
この状態で巣から「足」を離してしまえば落下することでしょう。
もう少し、羽ばたく力が増えれば、体もふわっと軽く浮いてきます。
そして、さらに餌を食べ、羽ばたく力が強くなると、いよいよ、体が浮いてきます。
十分に体が軽くなったその時に、ようやく巣から「足」を離します。
軽くなってから足を離せば、ひな鳥は「飛ぶ」ことができるのです。
つまり、
「文字を見ながらの音読」=「巣に足をつけた状態での羽ばたき」
「文字を見ないで暗唱」=「巣から足を離して飛んでいる状態」
ということです。
飛べるようになる前に、巣の中で、自分の体が軽くなるまで、しっかり、十分に羽ばたきをしておく必要があるのです。
口が軽くなるまでは、「文字から目を離さない」ということを辛抱強く続けなくてはなりません。
そして、一度「文字から目を離して」言ってみたときに、少しでも間違えたり、口が回らなかったり、とちったりしたら、それは「十分に口が軽くなっていない」という証拠です。
その場合は、再び「文字から目を離さない」で、もうしばらく「音読」を繰り返すと良いでしょう。
「口」で覚えた英文は、「頭」で覚えた英文よりも、遙かに深く、長く、自分の中に残ります。
是非、試してみて下さい。