ずいぶん前ですが、仕事の関係者と居酒屋で飲んでいるとき、何とはなしに、「モノづくり」に関する話になりました。
昔は、世界の精密機器・機械などにはたいてい「Made in Japan」と書かれていました。
電化製品、自動車、ゲーム機器など。
日常的に「Made in Japan」の製品が世界中で見られていたのです。
私(久末)がアメリカに留学していた1989年~90年の頃もそうです。
ホストファミリーの家の中に、「Made in Japan」のものを見つけると、嬉しさと誇らしさが混ざったようなものを感じたものでした。
ところが、最近では、日本でもアメリカでも、おそらく世界のどこでも、「Made in Japan」を見つける方が大変です。
台湾、香港、中国、韓国などのアジア地域で作られるものがほとんどです。
それはもちろん「生産コスト」などの理由があるのでしょう。
ですが、日本が「モノづくりの国ニッポン」として、再び世界に認められるようになってほしいと願っているのは私だけではないように思います。
とは言え、今の若者にとって、工学系などのモノづくり分野はあまり魅力的に映らないらしいです。
その背景には、子供の頃からの環境が影響している、のではないか、という話になりました。
たとえば私たちが子供だった頃は、プラモデルやらラジコンやら、自分で作り上げるような遊びに夢中になったものです。
子供が自分で作り上げるようなものは、言うなれば、商品としては「未完成」と言えます。
未完成の商品を「作り上げる」というところに、昔の子供たちは魅力を感じたのです。
仮に、そういう子供時代を過ごした人の中で、特にモノづくりに魅せられた人が、大人になってそのまま「仕事」としても「モノづくり」をするようになったとしましょう。
そういう人は、モノづくりに喜びを感じる人ですから、仕事として商品を見事に「完成」させてしまいます。
ところが、時代が流れ、今の子供たちは「完成された商品」しか与えられなくなってしまいます。
「未完成なものを完成させる」という喜びを知らない子供は、むしろ「未完成」であることの不満を覚えてしまうのではないでしょうか。
今の世の中、とにかくユーザーや消費者からすれば便利なものばかりです。
携帯電話、スマホ、カーナビなどもそうですが、子供向けのゲームまでその完成度にこだわった商品も少なくありません。
「子供に完成品を与える」ことが良いことも当然あります。
しかし、敢えて「子供には未完成品を与え、それを自分で完成させる喜びを知ってもらう」ということが、今の時代には特に大事なのではないかと思います。
「モノづくりの国」として日本が世界で活躍するためには、今の子供に対する考え方を改めなくてはならないのかもしれません。
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