日本人が英単語を覚えようとする時、当然、「日本語」に置き換えて覚えることでしょう。
しかし、単に「日本語」に置き換えてしまうと、その英単語の「本来の意味」が失われてしまうことがあります。
英単語の「本来の意味」がよく見えるような日本語に訳しておくと、実際に英語で文を作ろうとする時にとても役に立ちます。
さて、今日は「some 〜 others」という表現について考えてみましょう。
この表現に関して、多くの文法書や参考書に「〜する人もいれば、〜する人もいる」のように訳すようにと書かれています。
例えば、「Some people spend their money on clothes, while others enjoy saving money.」という文があったとします。
これを「服にお金を費やす人もいれば、お金を貯めることを楽しむ人もいる。」という日本語に訳すということです。
実は、この解釈で、意味として良いと言えば良いのですが、「どうしてそういう意味になるの?」ということが理解できていないのはよろしくありません。
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そもそも、「some」というのはどういう言葉でしょうか?
「some」と聞くと、「いくつかの」という日本語を思い浮かべる人も多いことでしょう。
「some」は、「全体の中の一部」を漠然と表しながら、それに関する「存在」を表す場合に使われる言葉です。
「全体」ではなく「一部」である、ということを表す時に「some」が使われるのです。
このことから、例えば、「Some people say…」という表現があったとすれば、「世の中の全体の人々ではなく、その一部の人々は言う…」という意味になるのです。
「世の中の一部の人が言う」ということは、「そのように言う人も(世の中には)いる」という日本語に置き換えられるということです。
冒頭の問題の「Some people spend their money on clothes」では、「Some people」は、「世の中の一部の人々」という意味を表しています。
「決して、全員ではない」ということを表す場合に、「some」という言葉が使われるのです。
一方、「others」はどういう意味でしょうか?
「others」の前に、語尾の「-s」を取った「other」について考えてみましょう。
「other」というのは、日本語では「他の」という意味になります。
これは「単数」なので、この言葉が使われる前には、「ある1つ」がまず挙げられているはずです。
「ある1つ」は、英語では「one」という言葉で表現されます。
例えば、何でも良いですが、何か「2つのもの」があったとします。
そのうち、「1つ」を取り出した場合、それは「one」という英語で表現されます。
そうなると、2つのうち、残ったもう1つは確定されることになりますので、定冠詞「the」がついて「the other」というように表現されるのです。
これが「3つ」ならばどうでしょう?
「3つ」のうち、最初に1つを取り出した場合も、やはり最初は「one」という言葉で表現されます。
この時、「残る2つ」については、やはり確定されることになるので、「the」がついて「the others」というように、「other」の複数形で表現されるのです。
あるいは、「3つのうちの残り2つ」ということなので、「the other two」というように表現することもできます。
はたまた、「other」も使わずに、「the rest(その残り)」というように表現することもできます。
これが「4つ」や「5つ」のように、数が増えても同じように「the others」や「the other three(あるいはfourなど)」や「the rest」という表現が使えます。
ここまでは「全体の数が分かっている場合」の話です。
今度は、仮に、「数がいくつあるかわからない」けれど、たくさんあるものがある、という場合を想定してみましょう。
「不特定多数」のものの中から、適当に1つを選んで取り出したものは、やはり「one」という英語で表現されます。
そして、その中から次に「1つ」を適当に取り出した場合は、不特定なので、不定冠詞「a(n)」をつけて「an+other」、つまりは「another」という言葉で表現されます。
「不特定多数」のものの中から、今度は1つではなく、「適当にいくつか」を選んで取りだした場合には、「one」ではなく「some」が使われます。
この場合の「some」は、やはり「全体の中の一部」を表します。
そして、不特定多数の中から「some」を取り出した後で、さらに別の「いくつか」を適当に取り出した場合には、「the」をつけずに「others」という言葉が使われるのです。
この場合の「others」は、最初に取り出した「some」が複数であったことを受け、「適当に選ばれた他の複数のもの」という意味になります。
冒頭の例文をもう一度見てみましょう。
「Some people spend their money on clothes, while others enjoy saving money.」
この場合、「others」というのは、最初に取り出された「some people」に対応しています。
世の中の全ての人々をイメージしながら、最初にそこから適当に複数を取り出したものが「some」です。
そして、「some」が取り出された後で、「次に適当に取り出された別の複数のもの」という意味で「others」が使われているのです。
つまり、世の中には、服にお金を使う人もいれば、貯金を楽しむ人もいる、ということになるのです。
この英文を直訳するならば、「(世の中の)一部の人々は彼らのお金を服に費やすが、その一方では、また別の一部の人々はお金を貯めることを楽しむ。」のようになります。
◎まとめ
「some」は「全体の中の一部」を表す場合に使われる言葉で、「others」は「some」が選ばれた後で「次に適当に取り出された、別の複数のもの」という意味で使われます。このことから、「Some 〜 others」という表現は、「〜する人もいれば、〜する人もいる」という日本語に訳されることがあるが、原則的には「some=全体の一部」であり、「others=さらに別の一部」であるということを理解しておくと良いでしょう。