<前回の続き>
前回、「目的語」が2つ入り込んだ英文は「第4文型(S+V+O+O)」という形となります、と書きました。
まず、前回の例をおさらいしましょう。
I bought him a book. (私は彼に本を買った。)
この文のうち、「him」も「a book」も、どちらも目的語として考えることができる、というのは前回説明しました。
さて、第4文型では、通常、2つ並んだ目的語のうち、
「前の方に置かれた目的語」は「間接目的語」と呼ばれ、
「後ろの方に置かれた目的語」は「直接目的語」と呼ばれます。
つまり、上の例文では「him」が間接目的語で、「a book」が直接目的語ということになります。
で、普通、間接目的語には「人」を表す言葉が置かれ、直接目的語には「モノ」を表す言葉が置かれるのが一般的です。
さらに、第4文型の文では、「V(述語動詞)」のところには、「渡す」のような意味の動詞が置かれます。
まとめると、第4文型の文は、
「Sが、間接目的語(人)に、直接目的語(モノ)を、渡す」
というような意味になるのです。
例えば、上に挙げた例文以外に、次のような文が考えられます。
・I sent her a letter.(私は彼女に手紙を送った。)
・I gave him a key.(私は彼に鍵をあげた。)
・I told him a story.(私は彼に物語を話した。)
・I showed her a picture.(私は彼女に1枚の写真を見せた。)
他にもありますが、基本的に、「人が、人に、何かを、渡す」という意味の文を作りたい時に「第4文型」の形が使われるのです。
さて、このような「第4文型」の文は、2つの目的語の順序を「入れ替える」ことによって「第3文型」の文へと変換することができます。
ただし、単に2つの目的語の順序を「入れ替える」だけではありません。
同時に、「前置詞」というものを間接目的語の直前に挿入しなくてはなりません。
ちょっとやってみましょう。
I bought him a book.
これは「第4文型」です。
まず、2つの目的語「him」と「a book」の順序を入れ替えます。
さらに、間接目的語である「him」の直前に「前置詞」を置きます。
この場合は、動詞「bought」との相性の良い前置詞として、「for」を使います。
すると、次のようになります。
I bought a book for him.
この文では、「a book」という部分は、相変わらず「目的語(O)」と言えます。
しかし、「for him」の部分は、「前置詞+名詞」というかたまりとなってしまいました。
このように「前置詞+名詞」というかたまりは、もはや「目的語(O)」として扱われなくなります。
では、「前置詞+名詞」というのは何として扱われるのでしょうか。
それは「修飾部分(M)」というものです。
つまり、「I bought a book for him.」という文は、「S+V+O+M」という文型になったと言えます。
「M」というのは、どの文型のどの部分にも入り込むことができるため、「文型」という分類をする際には無視されます。
従って、この文は「S+V+O」という形の「第3文型」というように分類されることになるのです。
上で挙げた他の第4文型の文も同じように「第3文型」へと変換することができます。
この時、使われる前置詞には「for」か「to」の2つが一般的です。時には「of」が使われることもあります。
どの前置詞が使われるかは、述語動詞(V)の「動詞」が、どの前置詞と相性が良いかによって異なりますので、1つ1つの動詞を「辞書」で確認すると良いでしょう。
・I sent her a letter. <第4文型>
→ I sent a letter *to her*. <第3文型>
・I gave him a key. <第4文型>
→ I gave a key *to him*. <第3文型>
・I told him a story. <第4文型>
→ I told a story *to him*. <第3文型>
・I showed her a picture. <第4文型>
→ I showed a picture *to her*. <第3文型>
これらの文は、「第4文型」でも「第3文型」でも、日本語に訳せば「同じ訳」として表現されます。
つまり、
・I bought him a book. <第4文型>
・I bought a book *for him*. <第3文型>
のどちらの文も、日本語で言えば「私は彼に本を買った。」となるのです。
では「同じ日本語訳」なのだから「同じ意味」なのかと言えば、そうでもないのです。
「ほぼ同じ意味」として解釈しても良いのですが、第4文型を使った場合と、第3文型を使った場合とでは、少し意味合いが異なります。
これについては、また次回!
どうぞお楽しみに。
<続く>