<昨日の続き>

私がアメリカに留学していた1989年の12月25日。

朝早くからライアンにたたき起こされた家族は、クリスマスの朝を満喫していました。

日本だと25日よりも前日の「イブ」が盛り上がりますね。

アメリカもその傾向はあるようですが、プレゼントを開けるのはやっぱり25日の朝のようです。

そして、私が「wish list」に書いたもののうち、半分程度のプレゼントをもらって感激していると、お母さんが私にこう言いました。

「午後、おじいちゃんとおばあちゃんの家でディナーに呼ばれているからみんなでいきましょう。」

「ディナー」というと、日本語では「晩ご飯」というイメージがあるかもしれませんが、この場合の「ディナー(dinner)」というのは、「一日で一番しっかりした食事」という意味なのです。

というわけで、お母さんの両親、つまりおじいちゃん・おばあちゃんの家にみんなで出かけたのです。

家に着くと、そこには豪華な食事がテーブルに並んでいます!

私は当時から「チキン」が大好きなのですが、チキンよりもさらに大きい「七面鳥(turkey)」も大好きでした。

七面鳥は、クリスマスの前の「感謝祭(11月終わり頃)」の時によくお祝いの食事で出されます。

ですが、クリスマスでも七面鳥を食べる習慣がアメリカにはあるようです。

おばあちゃんは、私がチキンも七面鳥も大好きだということを知っていたのでしょう。

私がディナーテーブルを見ていると「Keisukeは七面鳥が好きだよね。だから用意してあるよ。」と言ってくれたのです。

テーブルには、おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、ライアン、そして私の6人が座り、クリスマスのディナーを楽しみました。

おばあちゃんは、今年の9月にアメリカに行ったときにも会ってきました。
91歳でお元気でした。(詳細はこちらのブログ記事をご覧ください。)

おじいちゃんは、何年か前に亡くなったと聞きましたが、当時は私のことも本当の孫のようにかわいがってくれていたのです。

さて、ディナーが終われば、当然のようにデザートが出てくるのもアメリカです。

しかも、アメリカのデザートは大きさが半端じゃあないのです(笑)

こんなにたくさん、誰が食べるの? と心配になるくらい、たくさん出てきます。

おばあちゃんは、この日のためにケーキを作っておいてくれました。

当時の私は食べ盛りの16歳でしたから、ライアン以上にがっつり食べたという記憶があります。(ごちそうさまでした!)

そして、ディナーが終わった後は、みんなでリビングに移動し、ソファーに座りながらくつろぎます。

ふとリビングを見渡すと、ここの家にもクリスマスツリーがあります。

そして、ツリーの下には、やっぱりどこの家庭にもあるように、大量のプレゼントが置かれています。

「ああ、おじいちゃん、おばあちゃんくらいの年齢になってもプレゼントを置いておくんだなぁ」と私はぼんやり思っていました。

ところが、ライアンが落ち着かないのが私にも伝わってきました。

おばあちゃんはライアンに「さあ、プレゼントを配っておくれ」と言うのです。

ライアンは「待ってました!」と言わんばかりに、クリスマスツリーの下のプレゼントを、朝と同じように配布し始めました。

「This is for me!  This is for Grandma!  This is for Grandpa!  This is for Mom.  This is for Dad….」

そして、

「This is for you, Keisuke!」と言って、私に1つのプレゼントを渡してくれたのです!

「えっ? ここでももらえるの?」と驚く私をよそに、ライアンは一生懸命、配り続けます。

しかも、ここでも「1人1個」ではありません。

ここでも「1人に複数個」は配布されました!

「え~~~っ!!!??」

私は本当に驚きました。

ライアンが全てのプレゼントを配り終えると、全員がプレゼントの包みを「ビリビリ」に破りながら開けていきます。

私も「ビリビリ」に破りながら、自分のプレゼントを開けてみました。

すると、私が「wish list」に書いたもののうち、残りの全てがそこにあったのです!

もう、あまりの予想外の出来事に、私はしばし呆然としてしまいました。

「本当に? なんで?」

日本では「1人に1個」と決まっているクリスマスプレゼントですが、ここまでたくさんのプレゼントを同時にもらうことなど、私のそれまでの人生ではあり得ませんでした。

しかも、自分が「wish list」に書いた全てがもらえたのです!

お母さんに渡した「wish list」を、おじいちゃんとおばあちゃんにも渡して、分担して買っておいてくれたのですね。

あまりに驚いて、しばらく放心状態になってしまったのですが、そんな私を見てみんなが笑います。

「Keisuke、日本では子ども達はどんなプレゼントをもらうの?」

そう聞かれ、私は「日本では、1人に1個しかもらえないのが普通だよ。」と答えました。

するとライアンが「じゃあ、僕はアメリカに生まれて本当にラッキーだね!」と言ってみんなで大笑いしました。

本当に、その通りだな、と思いました。

アメリカのクリスマスっていうのは、なんて凄いんだろう!

というより、どれだけの「お金」をクリスマスで使うんだろう?と思いました。

そう、アメリカでは、クリスマスの時期は、小売業の年間売上の「3割」を占めるとも言われています。

だから「クリスマス商戦」という言葉があるくらいなのです。

この時期にアメリカ人がお金を使う規模は、日本ではなかなか想像できないかもしれませんが、今回のこの話をお読み頂ければ、たぶん皆さんにもお分かり頂けるのではないでしょうか。

クリスマスの時期は、街中がクリスマスのムードを作り出していて、イヤでも盛り上がってしまいます。

市街地の民家では、家の外壁などにイルミネーションの飾り付けをします。

それを1軒だけがやるのではなく、ほとんどどこの家でもやるのです。

だから、街を車で走れば、とても明るく、あちこちのイルミネーションが目を楽しませてくれます。

日本でも、民家が家の外壁にイルミネーションを飾り付けていることがありますが、街中のほぼ全ての家がそんなことをしているという光景にはなかなかお目にかかれませんね。

アメリカでは、本当に「街全体」でクリスマスを楽しんでいるのです。

プレゼントにお金をかけ、ディナーにもお金をかけ、そし