「中止する」は、英語では「call off」「cancel」のように表現されます。

また「延期する」は、英語では「put off」「postpone」のように表現されます。

 

「call off」は、主に「予定されていたイベントの取りやめを宣言する」という意味で使われる表現です。「call」には元々「宣言する」の意味合いがあります。また「off」というのは、「離れている」ということを表す副詞です。

例えば、何かしらのイベントを実施するにあたり、以前から準備を進めていたという状況を想定すると、「準備から実施までの時間」を一本の「線」としてイメージすることができます。その「線に乗っかっている(つまり「on」)」という状況は「準備を進めている」ということになりますが、「線から離れている(つまり「off」)」という状況は、言い換えるならば「実施のための準備をやめる」ということを表します。つまり、「call off」というのは「off(今まで進めていた準備を辞めた状態)」となったことを「callする(宣言する)」ということなのです。これがひいては「中止する」という日本語に置き換えられるということです。

一方、「cancel」は、「call off」と同じように「予定されていたイベントを取りやめる」という意味でも使えますが、本来は「何かを取り消す」というシンプルな意味合いで使われる言葉です。「予約したけれど、それを取り消します」とか「約束したけれど、それを取り消します」とか「命令したけれど、それを取り消します」といった場合に「cancel」が使われます。「予約」や「約束」や「命令」といったものには、「準備から実施までの時間」というものがイメージしづらいため、「call off」という表現は普通は使われません。

「準備から実施までの時間」をイメージすることができて、その実施の中止を「宣言する」という場合には「call off」が使われますが、単に「取り消す」という場合には「cancel」が使われるということです。

 

「put off」は、「call off」と似ていますが、これは「取りやめを宣言する」ということではなく、「一旦、取りやめにする」ということを表します。

そもそも「put」には「モノをある場所に配置する」という意味がありますが、多くの場合、「後で別の場所に移動することができる」ということをほのめかします。もちろん状況によっては後で移動することができないこともありますが、たいていは「後で動かせる」ということを表します。同じ「置く」の意味でも、「set」や「fix」には「置いて固定する」の意味合いがありますが、そのような「固定する」の意味を含ませたくない時には「put」を使うのが普通です。

「put off」の「off」という言葉自体は、「call off」の「off」と同じと考えて差し支えありません。つまり、「put off」という表現は、「今まで準備してきたけれど、それを一旦、準備から離れたところに置きます」という意味となり、ひいては「後で準備を再開する可能性がある」ことをほのめかして「延期する」という意味となります。

通例、「put off」は「ひとまず準備を脇に置いて、準備をやめよう」という意味を持つことから、「あまり気が進まないことなので、とりあえず脇に置いておこう(後でやろう)」というように「気乗りしないこと」に対して使われる傾向があります。また、「他に優先すべきことがあるので、とりえあえずこれは中断しておきます」という意味で「put off」が使われることもあります。

一方、「postpone」は、純粋に「実施する日時を先に延ばす」という意味で使われます。つまり「準備をやめる」のではなく、「実施するタイミングを未来にずらす」という場合に「postpone」が使われるのです。

 

ところで、「call off」と「put off」は、どちらも「目的語」を間にはさんで「call 〜 off」や「put 〜 off」とすることができます。なお目的語が「it」や「that」などの代名詞の場合には、目的語は「call(またはput)」と「off」の間に置かれますが、「off」の後ろには置かれません。

例: They have decided to call off the event.
「彼らはそのイベントを取りやめることを決定した。」
(「call off the event」は「call the event off」の順番に変えることもできる。)

例: They have decided to call it off.
「彼らはそれを取りやめることを決定した。」
(「call off」の目的語が「it」という代名詞となっているので、「call it off」の部分を「call off it」という順番に変えることはできない。)

 

また、「call of」と「cancel」は最初が同じ「c」で始まり、また「put off」と「postpone」は最初が同じ「p」で始まる、と区別すると覚えやすいでしょう。