みなさんは「しきい値」という言葉をご存じでしょうか?

これは理工学系の分野でよく使われる言葉で、簡単に言えば「何かしらの変化が表面化するかしないかの境目の値」ということです。

例えば、ある物質に電気を流したとします。

物質の性質によって、ある程度の電圧まで高めないと電気が流れない場合があります。

ところが、電圧がある数値を超えたとたんに電気を流す、というものがあります。

シリコンなどの「半導体」という物質にはこのような性質があり、この「電気を流しはじめる電圧」のことを「しきい値電圧」と呼びます。

半導体などの工学系の分野以外にも「しきい値」という言葉は使われます。

脳の神経細胞が電流を流していくかどうかも「しきい値」という言葉で表現されますし、

花粉症を発症するかしないかについても「しきい値」という言葉で説明されることがあります。

放射能被爆についても「しきい値」という言葉が使われることがあります。

つまり、冒頭で述べたように、「何かしらの変化が表面化するかしないかの境目の値」のことを「しきい値」と呼ぶのです。

さて、この「しきい値」という言葉は「人が何かを修得する」という場合にも応用することができそうです。

しきい値を超える前の状態は、いくら力をかけても変化がありません。

ところが、しきい値をいったん超えてしまえば、あとは「時間に比例して」あるいは「練習量に比例して」、ぐんぐんと変化していくのです。

何かを身につけようと努力しても、なかなか「目に見えて変化がない」ということがあります。

「いつまで経っても変化がない」という状況が続けば、普通、心が折れてしまったり、やる気やモチベーションが失せてしまったりします。

そして、もう希望が持てなくなって、「やめてしまおう」という結果になったりします。

しかし、「意識をもって継続する」ということを実践していれば、人間レベルでできることならば必ず上達するし、必ず身につきます。

上達しない原因は、「意識」が足りないか、「継続する時間や量」が足りないかのどちらかです。

「意識をもって継続する」ということができているならば、あとは、「しきい値を超える」までは辛抱するしかありません。

しきい値を超える前に辞めてしまうと、辞めてから時間が経つうちに、それまでに練習によってため込んだものが少しずつ失われてしまうことがあります。

そして、さらに時間が過ぎてしまうと、そのことを「始めた時点」にまで戻ってしまうこともあるのです。

しきい値を超えた後ならば、ある程度の時期休んでも、また再開すれば元に戻っていきます。

ところが、しきい値を超える前に辞めてしまうと、しばらく経ってから再開しようとしても、すっかり最初の時点に戻ってしまい、同じところから始めることになってしまう可能性があるのです。

だから、「意識をもって継続する」ということができているならば、とにかく「しきい値を超える」までは踏ん張ることです。

しきい値を超えるのはいつなのか?というのは、取り組んでいる内容や、個人の能力などによって異なりますので一概には言えません。

ですが、どんなことであっても、「人間ならばできる」という思いを持って、自分を信じて取り組むことが大切なのです。

「今はまだしきい値を超えていないだけだ」と自分に言い聞かせ、なんとか踏ん張って継続していけば、きっとしきい値を超えた世界が見えてきます。

しきい値を超える前と後では、半導体が電流を流さないか流すかという程に大きな違いがあるのです。

しきい値を超える直前が一番辛いかもしれません。

その頃が一番心が折れそうな時かもしれません。

しかし、一番心が折れそうな時こそ、もしかしたら「しきい値を超える直前」なのかもしれません。

何かに取り組んで、思うように身につかない、上達しない、と諦めそうな時は、是非「しきい値を超えるまで頑張る」ということを思い出してほしいと思います。

<おしまい>

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